2006年07月15日

夏の想い出

草いきれのする山道を歩いてゆくと、急に視界が開ける。




朝日池(あさいけ)と地元で呼ばれていた溜め池の湖面が、きらきらと光って見えてきた。

大人になってから知ったことだが、この「あさいけ」は江戸時代に住民たちで、田圃の灌漑用として作ったといわれている。

私が生まれる数年前に、この池で溺れ死んだ子供がいたそうだ。

そんなこともあり、若き日の母が、「危ないよって、あさいけに行ったらあかんで・・・!」

母の忠告を振り切って、幼友達と「あさいけ」で落ち合う。

幼い頃は、これでも大冒険だった。



はやる気持ちを抑えて、草叢で海水パンツに着替える。
冷たい水が心地よい。
水中から水面を見ると、入道雲がゆらゆらと揺れているのが見えている。 

瞬時に別世界の住人になれた幼い頃。

カラス貝を採り、岸辺で焼いて食べた。face_02

これほど美味しいものを今まで食べたことがない。
今でもそう思う。

この池で泳ぎを覚え、自分と他のものという自我に目覚めた。
この季節になると、いつもこのシーンを思い出す。

かけがえのない夏の思い出。

からす貝:正式名称は知りませんが、関西方面の湖沼に多く生息しているものです。 農薬撒布や自然環境破壊が進んだ現在も、生息しているかどうかは分かりませんが・・表面が真っ黒で、ムール貝を大きくして、肉厚にした感じです。

■この話は、遥か50年ほど前の和歌山県のさらに片田舎の話です。

  

Posted by オリジン研究所  at 20:16Comments(0)暮らしと葬儀のあり方